サイレントマニピュレーション
サイレントマニピュレーションとは
サイレントマニピュレーションは、四十肩や五十肩と呼ばれる「肩関節周囲炎」に対する治療法です。肩関節にある関節包が周囲と癒着し、肩関節の可動域制限、拘縮をきたした状態が適応となります。神経ブロックにより痛みや不快感を最小限に抑えながら、肩関節の関節包の癒着を徒手的にはがします。この手技を関節授動術といいます。手術の類ですが、全身麻酔でなく局所麻酔で行える手技であり、外来で行えることが特徴です。麻酔を行うことで上肢を動かせなくなりますので、当日は三角巾を使用していただき車の運転は控えていただきます。翌日からリハビリテーションを受けることで、関節包の再癒着を防ぐことが大切です。
このような方はご受診ください
- 肩の動きが悪い
- 肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)と診断されたことがある
- リハビリテーションを受けても肩の動きが変わらない など
施術の流れ
- 1.問診、診察
- まずは、患者様の状態や症状について詳しく伺い診察します。日常の動作や痛みの状況を考慮し、最適な治療プランを立てます。
- 2.施術開始
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診察ベッドに横になり超音波ガイド下で神経ブロックを行います。その後いったん三角巾を装着し、15分程度で麻酔の効果を確認し、施術に入ります。
施術は可動域を広げるように肩関節を他動的に動かしていきます。施術中は肩の関節包が破れる音などしますが、可動域が広がるサインです。10~20分程度施術を行い、その後再度三角巾で腕を吊ります。 - 3.術後ケア
- 当日は肩の力が入らないため、三角巾を装着した状態で帰宅していただきます。帰宅の際は運転など手を使う動作は控えていただきます。自宅にて麻酔の効果が切れ腕が動くようになってから三角巾を外していただきます。可能な限り翌日からリハビリテーションのスケジュールもご提案いたします。施術後のリハビリテーションでその後の再発を予防することがかなり重要になります。
合併症について
疼痛 | 神経ブロックを行いますが、まれに効果が薄いことがあります。途中評価にて麻酔の効果が弱い場合には、施術を中断することがあります。 |
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出血 | 神経ブロックでは、頚部の神経を麻痺させます。少し長めの針で行いますので、内出血や穿刺後の出血を起こすことがあります。 |
感染 | 針を刺しますので、少なからず感染の可能性はあります。感染については経過を診察のうえ、感染の可能性があれば抗生剤にて治療します。 |
しびれ | 神経ブロックは神経周囲に麻酔をしますが、効果を強めるためなるべく神経に近い部分に麻酔を行います。神経の一部の線維が針先に触れたりすると、しびれが持続する可能性があります。その際は症状に合った内服にて経過をみていきます。 |
脱臼・骨折 | まれではありますが、肩関節を他動的に動かすことで、脱臼や骨折を引き起こすことがあります。特に高齢、女性では確率が高くなりますが、慎重に愛護的に行っていきます。 |
その他 | 気分不良や血圧低下などを引き起こすことがあります。何かあればその都度伝えてください。 |